チリで開催されたFIFA U-20ワールドカップ2025。
U-20日本代表はグループAを3戦全勝・7得点無失点で首位突破。
ベスト8進出を懸けてU-20フランス代表とのラウンド16に挑みました。
立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛け、何度もゴールを脅かした日本。
大関友翔、齋藤俊輔、佐藤龍之介、高岡伶颯らが次々に決定機を作り出しましたが、延長戦119分に痛恨のPKを献上し、0-1で惜敗。
内容面では互角以上に戦い、世界のトップと肩を並べたことを証明しました。
ここでは、戦績・速報ハイライト、試合内容、注目選手、現地の反響までを完全網羅します。
戦績ハイライト【グループステージ】
U-20ワールドカップ2025、グループステージからの戦績ハイライトを表にまとめました。
区分 | 日時(日本時間) | 対戦 | 結果 | 得点者 |
---|---|---|---|---|
グループA第1節 | 9月27日(金) | 🇯🇵 日本 vs 🇨🇱 チリ | 2–0 | 市原吏音(PK)、神田奏真 |
グループA第2節 | 10月1日(火) | 🇯🇵 日本 vs 🇿🇦 南アフリカ | 3–0 | 大関友翔、石井久継、佐藤龍之介 |
グループA第3節 | 10月5日(日) | 🇯🇵 日本 vs 🇲🇽 メキシコ | 2–0 | 高岡伶颯、石渡ネルソン |
ラウンド16 | 10月8日(水) | 🇯🇵 日本 vs 🇫🇷 フランス | 0–1(延長) | ― |
試合速報と戦況【ラウンド16】
【ラウンド16】フランス戦の試合速報と戦況まとめです。
U-20日本代表は4-2-3-1の布陣で試合開始直後から主導権を握りました。
開始2分、齋藤俊輔が鋭い突破から最初のシュートを放ち、早くもゴールを脅かします。
25分には、大関友翔と神田奏真の見事なワンツーから決定的なチャンス。
続く35分には齋藤のシュートがクロスバー直撃、直後の石井久継の右ポスト弾と、スタジアムが沸き立ちました。
前半をスコアレスで折り返した日本は、後半も攻撃の手を緩めません。
48分・51分に齋藤が立て続けにチャンスを作り、72分には途中出場の高岡伶颯がスピードを活かして相手守備を切り裂くも、GKの好セーブに阻まれます。
延長戦でも日本は攻め続けました。
95分、喜多壱也のヘディングシュートが再びバーを直撃。
108分には自陣からのカウンターで佐藤龍之介が独力でボックス左へ持ち込み、惜しくもフィニッシュならず。
117分には高岡のスルーパスから佐藤がシュートを放つも、わずかに枠の上。
しかし、延長後半118分、梅木怜の守備対応がVAR判定でハンドとされPK献上。
途中出場のGK荒木琉偉が立ちはだかるも、フランスのルーカス・ミシェルに沈められ、痛恨の失点。
試合はそのまま終了し、日本は2003年以来となるベスト8入りを逃しました。
キャプテンの市原吏音は試合後、涙ながらに語りました。
「決め切るところで決めきれなかった。フランスは最後に決めた。これが世界の戦いですし、ベスト16の壁の弱さでした。悔しいです。」
この試合は、内容・支配率・決定機すべてで日本が上回りながら、「世界の勝負強さ」にわずかに届かなかった一戦として、多くのファンの記憶に残りました。
最新メンバー一覧(U-20日本代表2025)
中島洋太朗(サンフレッチェ広島)の離脱により、筑波大学の布施克真が追加招集されました。
GK
- 中村 圭佑(東京ヴェルディ)
- ピサノ アレクサンドレ 幸冬堀尾(名古屋グランパス)
- 荒木 琉偉(ガンバ大阪)
DF
- 塩川 桜道(流通経済大学)
- 市原 吏音(RB大宮アルディージャ/キャプテン)
- 梅木 怜(FC今治)
- 喜多 壱也(レアル・ソシエダ/スペイン)
- 小杉 啓太(ユールゴーデンIF/スウェーデン)
- 森 壮一朗(名古屋グランパス)
MF
- 大関 友翔(川崎フロンターレ)
- 平賀 大空(京都サンガF.C.)
- 小倉 幸成(法政大学)
- 齋藤 俊輔(水戸ホーリーホック)
- 石渡 ネルソン(いわきFC)
- 中川 育(流通経済大学)
- 石井 久継(湘南ベルマーレ)
- 横山 夢樹(FC今治)
- 佐藤 龍之介(ファジアーノ岡山)
- 布施 克真(筑波大学)※追加招集
FW
- 神田 奏真(川崎フロンターレ)
- 高岡 伶颯(ヴァランシエンヌFC/フランス)
注目選手たちの戦い
U-20日本代表の中でも、特に存在感を放つ注目選手たちを紹介します。
キャプテン市原を中心に、各ポジションのキーマンが揃っています。
市原吏音(RB大宮アルディージャ/DF・キャプテン)
守備陣をまとめ上げたキャプテン・市原吏音。
グループステージでは2本のPKを沈め、攻守にわたって精神的支柱となりました。
フランス戦でも的確なカバーリングと声掛けでチームを鼓舞し続け、最後までリーダーシップを発揮。
「これが世界の戦い」と語った涙のコメントは、チームの象徴となりました。
さらに、現地チリでは“日本のアニメを愛するキャプテン”として人気を集めました。
初戦で披露した「僕のヒーローアカデミア・デクのポーズ」がSNSで拡散。
試合後には『ラジオ・スポーツ・チリ』の記者から現地コミックやペナント、飴のプレゼントを贈られ、
「グラシアス、アイラブチリ。すべてのチリ人にありがとう。」
と笑顔で応じました。
試合だけでなく、人柄と交流を通じて現地ファンの心を掴んだ、日本サッカーの新しい顔です。
佐藤龍之介(ファジアーノ岡山/MF)
ファジアーノ岡山でプロデビューを果たした、知性と創造性を併せ持つMF、佐藤龍之介。
ラウンド16のフランス戦では、序盤から気迫を見せ、右サイド・中央問わず攻撃をリード。
36分には齋藤のシュートを導く折り返しを演出し、延長117分には自身で決定機を迎えるなど、攻撃の中心を担いました。
「数多くあったチャンスを僕がひとつでも決めていれば勝てた。自分に対する悔しさが大きい。」
と語りつつ、「借りはW杯でしか返せない」と前を向いたその姿勢が印象的でした。
大関友翔(川崎フロンターレ/MF)
ゲームのテンポを操る司令塔、大関友翔。
中盤の司令塔として攻撃を支配。
ボランチ位置から正確な縦パスとリズムチェンジでチャンスを演出し、フランス戦でも主導権を握りました。
前線と中盤をつなぐリンクマンとして、攻撃の心臓部を担う存在。
「内容では勝っていた」と語る通り、戦術理解と技術の両面でチームを牽引しました。
神田奏真(川崎フロンターレ/FW)
俊敏な動き出しと高い決定力を誇るストライカー、神田奏真。
U-20代表では2ゴール1アシストと結果を残しており、攻撃陣の中心。
裏抜けのタイミングとポジショニングセンスが抜群で、ゴール前での落ち着きが光りました。
高岡伶颯(ヴァランシエンヌFC/FW)
フランス・リーグ2でプレーする快速FW、高岡伶颯。
フランス戦では途中出場ながら、試合最大の決定機を生んだプレーが光りました。
延長117分、相手CKのこぼれ球を拾うと、自陣から一気にドリブルで持ち上がり、左サイドを独走。
ディフェンスラインの裏へ鋭いスルーパスを通すと、佐藤龍之介が抜け出してシュート。
惜しくもクロスバーの上を越えたが、世界の舞台で高岡の持ち味である推進力と判断力が際立った瞬間でした。
フランスでのプレー経験からくる冷静さも印象的で、チームに落ち着きをもたらす存在として攻撃の起点を担いました。
喜多壱也(レアル・ソシエダ/DF)
左利きのセンターバックとして、ビルドアップの起点となるDF、喜多壱也。
左足の正確なビルドアップと守備の安定感が持ち味。
95分にはセットプレーから強烈なヘディングシュートを放ち、惜しくもバーを叩くなど攻撃面でも貢献しました。
スペイン仕込みの戦術理解度の高さが光り、今後の代表常連候補として注目されています。
総括・今後への展望
「勝負には敗れたが、内容では勝っていた」――それがこのU-20日本代表の評価です。
市原吏音の統率力、大関友翔の知性、佐藤龍之介の闘志、高岡伶颯の推進力。
この世代が見せた戦い方は、今後の日本サッカーに確かな希望をもたらしました。
市原が語った「アイラブチリ」の言葉は、敗戦後も現地の人々の心を温めました。
サッカーを通じて国境を越えた絆を築いた彼らは、“ベスト16の壁”を越える新たな世代の象徴となるでしょう。
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